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るわけです。したがってこの白くなっているところは、これは今までわかっているピラミッドのところです。これだけ見ますと、ジュゼル、ウナス、セケミケット、こういうような名前が書いてありますが、こういうところに現存しているピラミッドです。
この地域はちょっと映像ではわかりにくいですが、グレートエンクロージャー、その下の反射があります。これはほとんど気が付かなかったところでありまして、実際にそこが反射があるということで現地を調べてみました。
その場所はこの場所です。少し掘ってみますと、こういうような土器が出てきました。それからこういう石とか、粘土です。干乾煉瓦が出てきたりします。これはほとんどわからなかったわけですが、文献の上にも載っていない。これから調査を行うところであります。そういうところが数カ所あって、実際にこういう方法でやってみるとおもしろいということです。
サッカラの南に見つけたところは、これは60センチメートルほど掘り下げました。礎石の跡が出てきました。これもやはり表面は全く砂漠の中でフラットになっていたのですが、人工衛星のレーダーの反射で出たわけです。このようなことがあります。これはこの3月に正式な発掘を予定しているわけです。
それで例えば今のところから想定される絵は、これは私の責任で出すわけではないので、書いた人がいますが、こういうのが神殿として考えられるだろうということが今、言われております。
こうして人工衛星を使って、今までにない形で調査をするということが可能になりました。そこで私たちは人工衛星で調査をするという方法で、先ほど申し上げたような全体を調べてみようということを行ってみたわけです。人工衛星を使って宇宙から遺跡を調べるという意味ではなくて、むしろ古代の環境がどうであったかということを調べることにしたわけです。
それで古代からこの環境がどう変わってきたかということで、たくさんのあれがあるのですが、例えば日本の場合でも植物の変化というのが時代によって違うのです。今生えているものは昔から生えているように思うけれども、そうではない。時代時代によって植物の種類が違ってくるということがわかっているわけです。
そういうことで調べていくと、どうも環境の変化の温暖化と寒冷化で文明の生成と消滅があったり、王朝の生成と消滅があったり、それから覇者が交代したり、経済の変動が起きてくるということが考えられるわけです。そこでそういう古い時代、その歴史的な変化が起きた時に、一体何が起きたのだろうかということを調べてみました。
例えば人口変動があった時に、人口の激減があった時に、ローマの時代とか三国志の時代とか、五胡十六国、それから中世紀のペストの流行している時、それからゲルマン民族の移動している時、それから奴隷制度、それからモンゴル族の侵略とか、それから太陽黒点、さまざまなイベントが歴史の上に現れるのですが、どちらかというと我々はこういう現象を人間の歴史と見ていたわけですが、実は自然に支配された歴史だということが想定されるわけです。集落から都市へ急激な集中化が起きたり、平均化とそれから零落が起きたり、そういうことが繰り返しあるのではないかというのが我々の推定であります。
もう一つは人口の増加であります。人口の増加というのは、今世紀の初めに16億人だった人間が1950年に25億人、95年に57億人、2020年に80億人にと膨らんでいくわけです。すると歴史の時代は一体どのくらいだったのだろうかと、いろいろな推定があるのですが、西暦元年ごろは大体1億人か2億人ぐらいだろうと。1億か2億の人間がどうしていたかというと、環境が変わるとあちらへ行ったりこちらへ移動していたのです。それによっていろいろな変化が見られたわけです。
地球の上の歴史を見ると、実は温度の変化、乾燥と湿潤の変化が激しいのです。ここは16万年の歴史の中で一応推定されておるわけです。
特に今我々が住んでいるこの時期は、地球全体としては昔より温度が低い傾向にあるわけです

 

 

 

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